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------------------------------------------------------------ メールマガジン 「英語の泉」 本メールマガジンは、英語にまつわる面白いお話を、比較文化 などの観点からお送りします。 ============================================================ 今回のお話は、「ことわざあれこれ」です。 では、教授、お願いします。 ============================================================ 日本の諺「取らぬ狸の皮算用/飛ぶ鳥に献立」に相当する諺は英では 熊の皮(Catch the bear before you sell his skin.)の他に、羊を飼う 前の羊毛、生まれる前の仔牛、孵る前の雛、手に入れる前の魚が出て くるが、独・仏ではやはり熊の皮である (Er verkauft das Fell, ehe er den Ba:ren hat.熊を手に入れる前にその皮を売る/Il ne faut pas vendre le peau de l'ours avant de l'avior tuee'.熊を殺す前に その皮を売るな)。 このように諺は長い間人々に言いならされてきた知識、教訓、風刺などで あるため、言おうとすることはほぼ同じであっても、そこに出てくる 動物、人間、事物などは、それぞれの自然や社会的背景を反映していて 興味深い。 もともとセルバンテスの『ドン・キホーテ』の中の言葉である「ローマは 一日にして成らず」は羅(ラテン語)または仏から英・独にも直訳されて いるが、仏では今は普通Paris ne s'est pas fait en un jour.(パリは 一日にして成らず)と変わっているのは珍しい例であろう。 ☆「恋は盲目」は羅(Amor caecus)からと思われ、英・独・仏すべて直訳 の形である。ローマ神話の愛の神キューピッドは目隠しをして矢を射る とも言われることを考えると面白い。 シェイクスピアの作品には諺が非常に多いが、『ヴェロナの二紳士』にも 「彼女に惚れているなら彼女は見えませんよ」−「なぜって恋は盲目です から(Because love is blind.)」という対話がある。 ☆「光陰矢のごとし」は中国からのものであるが、羅の「時は逃げ去る (Tempus fugit.)」の英訳がTime flies.flyが「逃げる」と「飛ぶ」の意味 を持つため、「時は翼を持っている」(Time has wings.)もあり、また 米国人の書いたものにはTime flies like an arrow.のような表現もある。 ☆「同じ釜の飯を食う」に相当するものには羅の「同じ杯で飲む」の訳 drink of the same cupがあるが、英のcompanionは「一緒にパンを食べる 人」でありよく似ている。 仏には「同じどんぶりで食う」、独には「(一緒に)飲むことは友情を生む」 がある。 ☆「触らぬ神に祟りなし」に相当するものに、羅からの訳Far from Jupiter far from thunder.(Jupiterから離れていれば雷には打たれない)があるが Jupiterが雷神でもあることを考えると面白い。 日・英・独・仏などで同じような動物を使った例を見てみよう。 ☆中国から日本に取り入れられたものも非常に多いが「前門の虎、後門の狼」 は英ではA precipice in front, a wolf behind.(前に絶壁、後に狼)と羅 からの英訳「槌と鉄床の間」とがある。 ☆「女の髪の毛には大象もつながる(仏教から)」にはOne hair of a woman draws more than a hundred yoke of oxen.(女の髪一本は二百頭の牛よりも 引く力が強い)というよく似た表現がある。 ☆「釈迦に説法/猿に木登り/河童に水練」に相当するものはA sow to teach Minerva.(知恵の神ミネルバに教える豚)、Teach your grandmother to spin [suck eggs].(おばあさんに糸の紡ぎ方[卵の吸い方]を教える)、We must not teach a fish to swim.(魚に泳ぎを教えてはいけない。羅からの英訳)であ ろう。 ☆「鬼の目にも涙」と似ているが英・仏のcrocodile tears, larmes de crocodile(ワニの涙)は「見せかけだけの空涙」の意味である。 ☆「鬼のいぬ間(に命)の洗濯」は独・仏では羅からのかなり忠実な訳で「猫 の留守に鼠が踊る」であるが、英ではWhen the cat's away the mice will play.(猫がいないと鼠があばれる)である。 ☆「犬猿の間柄」は英・独・仏ともに犬と猫でThey agree like cats and dogs.(犬と猫のように仲がよい)というような皮肉な表現である。 ☆「河童の川流れ/猿も木から落ちる/弘法にも筆の誤り」はHomer nods sometimes.(ホーマーもこっくりすることがある)という羅からの訳がよく 知られているが、頭韻を踏んだA good marksman may miss.(弓の名手も 射ち損じることもある)もある。 ============================================================ いかがでしたでしょうか? どれか1つだけでも覚えると、薀蓄として使えるのではないでしょ うか。 本メールマガジンの内容は、数日後に以下のホームページに掲載 されます。ぜひ、ホームページもご覧ください。 http://e-katsuma.hp.infoseek.co.jp/ 本メールマガジンの購読解除も上記のホームページで行えます。 --表記上の注意---------------------------------------------- 本メールマガジンでは、ドイツ語、フランス語などの英語以外の 言語が記述される場合があります。 よって、英語に存在しない表記が登場します。これらの表記は、 JISコード表に存在しないものもあります。 そこで、本メールマガジンでは以下のように表記を定めています。 ・ウムラウト------------------- a: ・エスツェット----------------- ss ・アクサンテギュ--------------- e' ・アクサングラーブ------------- e` ・アクサンシルコンフレクス----- e^ また、強調したい文字・単語は_(アンダーライン)でくくっています。 ------------------------------------------------------------ |